活字は自由になる世の中だ

 拊石は上《あが》り口《ぐち》で大村を見て、「何か書けますか」と声を掛けた。「どうも持って行って見て戴くようなものは出来ません」「ちっと無遠慮に世間へ出して見給え。活字は自由になる世の中だ」「余り自由になり過ぎて困ります」「活字は自由でも、思想は自由でないからね」 緩《ゆるや》かな調子で、...

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論文はむつかしくて困ります

「何を読んでいます」「フロオベル、モオパッサン、それから、ブウルジェエ、ベルジックのマアテルリンクなんぞを些《すこし》ばかり読みました」「らくに読めますか」「ええ。マアテルリンクなんぞは、脚本は分りますが、論文はむつかしくて困ります」「どうむつかしいのです」「なんだか要点が掴《つか》まえに...

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会計をしている人

 配ってしまうと、大きい土瓶に番茶を入れたのを、所々に置いて行《ゆ》く。 純一が受け取った菓子を手に持ったまま、会計をしている人の机の傍にいると、「おい、瀬戸」と呼び掛けられて、瀬戸は忙がしそうに立って行った。呼んだのは、初め這入ったとき瀬戸が話をしていた男である。髪を長く伸《のば》した、色の蒼い...

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