萩の茂みに隠れてしまった

 答を待たない問の調子で娘は云って、にっこり笑った。そして萩の茂みに隠れてしまった。 純一は午後越して来る約束をして、忙がしそうにこの家の門を出た。植木屋の前を通るとき、ダアリアの咲いているあたりを見たが、四枚並べて敷いてある御蔭石《みかげいし》が、萩の植わっている処から右に折れ曲っていて、それよ...

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婆あさんは柴折戸を開けた

「まあ、とにかく御覧なすって下さい」と云って、婆あさんは柴折戸を開けた。純一は国のお祖母《ば》あ様の腰が曲って耳の遠いのを思い出して、こんな巌乗《がんじょう》な年寄もあるものかと思いながら、一しょに這入って見た。婆あさんは建ててから十年になると云うが、住み荒したと云うような処は少しもない。この家に手...

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今から新聞社に行く

「僕は今から新聞社に行くから、又遊びに来給え。夜は行《い》けないよ」 机の上の書類を取って懐《ふところ》に入れる。長押《なげし》から中折れの帽を取って被る。転瞬倏忽《てんしゅんしゅくこつ》の間に梯子段を降りるのである。純一は呆《あき》れて帽を攫《つか》んで後《あと》に続いた。

[#5字下げ]参[...

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