少女の頭

「ええええ。あちらから廻っていらっしゃいまし」 少女の頭は萩の茂みの蔭に隠れた。婆あさんは純一に、少女が中沢という銀行頭取の娘で、近所の別荘にいるということ、娵の安がもと別荘で小間使をしていて娘と仲好《なかよし》だということを話した。 その隙《ひま》に植木屋の勝手の方へ廻ったお雪さんは、飛石伝い...

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萩の茂みに隠れてしまった

 答を待たない問の調子で娘は云って、にっこり笑った。そして萩の茂みに隠れてしまった。 純一は午後越して来る約束をして、忙がしそうにこの家の門を出た。植木屋の前を通るとき、ダアリアの咲いているあたりを見たが、四枚並べて敷いてある御蔭石《みかげいし》が、萩の植わっている処から右に折れ曲っていて、それよ...

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婆あさんは柴折戸を開けた

「まあ、とにかく御覧なすって下さい」と云って、婆あさんは柴折戸を開けた。純一は国のお祖母《ば》あ様の腰が曲って耳の遠いのを思い出して、こんな巌乗《がんじょう》な年寄もあるものかと思いながら、一しょに這入って見た。婆あさんは建ててから十年になると云うが、住み荒したと云うような処は少しもない。この家に手...

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