木造のけちな家ばかり並んでいる

 この辺には木造のけちな家ばかり並んでいる。その一軒の庇《ひさし》に、好く本屋の店先に立ててあるような、木の枠に紙を張り附けた看板が立て掛けてある。上の方へ横に羅馬《ロオマ》字で DIDASKALIA《ジダスカリア》 と書いて、下には竪《たて》に十一月例会と書いてある。「ここだよ。二階へ上がるのだ...

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浅草公園の昨今の様子

 純一は画なんぞを見るには、分かっても分からなくても、人と一しょに見るのが嫌《きらい》である。浅草公園の昨今の様子は、ちょいちょい新聞に出る出来事から推し測って見ても、わざわざ往って見る気にはなられない。拊石という人は流行に遅れたようではあるが、とにかく小説家中で一番学問があるそうだ。どんな人か顔を...

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天長節の日の午前

[#5字下げ]六[#「六」は中見出し]

 天長節の日の午前はこんな風で立ってしまった。婆あさんの運んで来た昼食《ひるしょく》を食べた。そこへぶらりと瀬戸|速人《はやと》が来た。 婆あさんが倅の長次郎に白《しら》げさせて持《も》て来た、小さい木札に、純一が名を書いて、門の柱に掛けさせて置いたので、...

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